世界一短い地下鉄「テュネル」イスタンブール

(文 佐藤尚)

The world’s shortest subway, “TÜNEL”

世界一短い地下鉄「テュネル」イスタンブール

Special Features / Civil Engineering Heritage IX

特集 土木遺産IX : バルカン諸国/多民族地域における土木文化

建設コンサルタンツ協会(JCCA)~ 協会誌250号(頁36~39)

地下ケーブル鉄道トルコ・イスタンブールの金角(きんかく)湾に架かるガラタ橋からは、北にガラタ塔が望める。新市街の丘の中腹にある塔は1348年にジェノヴァ人が建設した監視塔であり、1967年に改修されたのち、今では観光名所となっている。塔
を目印にガラタ橋を渡り新市街に入ると、IETTと縦に書かれた建物に出くわす。この1階がトンネルという意味の「テュネル」と呼ばれる地下鉄のカラキョイ駅である。正確には地下ケーブル鉄道で、いわゆるケーブルカーが地下にあると考えていい。IETTは運営している市交通局の略称である。

Istanbul Tunel 02
テュネルは2両編成の車両が交走式(つるべ式)で運行する単線ケーブルカーで、トンネル中央部にある短い複線区間で車両がすれ違う。朝7時から夜の11時まで営業し、1回で約40人の乗客を運び、1日に約12,500人の人々が利用している。通常5分間隔で運行する車両は、混雑時には3.5分まで間隔を狭め需要に対応している。
麓のカラキョイ駅と丘の上にあるテュネル広場駅の高低差62mを、平均勾配10%となる573mで結ぶテュネル。最大勾配17%となるトンネルを、時速約20km超の速度で、片道わずか約1分半しかかからない。1863年に運行を開始したイギリス・ロンドンの地下鉄に次いで、世界で2番目に早い1875年に開業した世界一短い地下鉄である。なぜ、この新市街に地下ケーブル鉄道として建設されたのだろうか。

 ケーブルのブレーキ装置
ケーブルのブレーキ装置

新市街の始まり
金角湾の北東側となる新市街の始まりはビザンツ帝国時代に遡ることができる。5世紀頃には港や街の体裁も整えられ、民家、教会、広場、劇場などがあったと記されている。12世紀になるとジェノヴァ人が旧市街から移住し、海上交易により栄え、莫
大な富を築くことになる。当時、この地は「ガラタ」と呼ばれた。アタテュルク橋から北に向かってシシハーネ、ガラタ塔を経てボスポラス海峡に面するトプハネ、そしてトプハネからガラタ橋、アタテュルク橋まで続く地域である。<もっと読む

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*